幸運は、ただ待っていても訪れない。

木々の葉の間に陽光が揺れる１０月。スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋。

そしてもちろん、学問の秋。

ひたすら暑かった夏が遠ざかり、頭がすっきりと冴えるこの時期は、多くの人にとって一年で最も学習に集中できる「ゴールデンタイム」と言えるでしょう。窓を開ければ涼やかな風が吹き込み、机に向かう気持ちを後押ししてくれます。

日々の努力にきちんと向き合えば、一日の変化は小さくても、必ず実を結びます。新学期のスタートダッシュをうまく切れた人、少し息切れしてしまった人。行事や部活に全力を注ぎ、これから勉強モードに切り替えようとしている人。どの姿も成長の途中にある、かけがえのない、今の自分です。

秋は、畑が黄金色に輝く「収穫の季節」。これまで続けてきた努力が、少しずつ結果として実り始めるのが、この時期です。夏期講習で基礎という畑を耕し、しっかりと栄養を与えてきました。ここからは、新しい知識の種をまき、日々の学習という水やりを重ねながら、その芽を伸ばしていく番です。テスト前日ではなく、何気ない日々の積み重ね。それこそがチャンスと出会う準備の時間です。テキストやワークを解き直す。基礎トレーニングや音読に毎日取り組む。分からない問題をそのままにせず、調べてみる。こういった小さな準備を地道に毎日積み重ねていくのです。

幸運は、ただ待っていても訪れません。準備を続けてきた人のもとに、静かにそして確実にやってくるのです。

読書の秋でも、学びの秋でもいい。毎日ほんの少しずつでも、自分を磨いていけば、冬の試験、春のスタートで必ず光が射してきます。

風が冷たくなっても、心はあたたかく。

チャンスをつかむための準備を、今日も少しずつ積み重ねていきましょう。

くじら