
「今日はどうしたんだい?」
遅刻した生徒に理由を尋ねると返答は様々だ。
返答は様々だが、尋ね続けるうちに遅刻は減っていく。このように、少しでも意識させ続けると、減っていくものだ。普通は。
ところが彼は減らなかった。確信犯だ。
1コマ分残されるより、時間通り来る方が余程楽だろうに、不思議だった。遅刻はするけれども、1コマ残ってやり残した宿題や復習をやって帰るのは、彼の律儀さのなせる業か。
「あの子、わざと遅刻してるんですよ。」
謎は、保護者面談で解けた。「時間通り行っても、どうせ居残るから時間通りに行かなくても一緒だって開き直っているんです。」
どうやら、「時間通りに塾に行っても、宿題や書写をやってなくてどうせ居残りになるわけだから、どうせなら少し寛いでから塾に行った方がいいや」と言うことらしい。「なるほど、なかなかやるなあ」と思わず感心してしまった。
面談の後、彼は時間通りに来るようになった。授業中の集中力もまずまずだ。同じ時間勉強するにしても、当たり前の条件を満たすだけで集中力が全く違う。今回彼が自分から心がけたことは2つ。
1.どうせ来るなら、時間通りに。
2.どうせ勉強するなら、
溜めてやらされる前に自ら。
もともと、やる時は一生懸命やる彼のこと。きっと、今回の件を踏み台にして成長していってくれるはずだ。
平凡なことを忠実に実行する。
1/6が過ぎ去った今年、平凡なことを実行し積み上げていこう。
(くじら)